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むし歯にならないためのフッ素の利用法など
むし歯を予防するのに強力なツールがフッ素です。
このフッ素の代表的な作用としては歯質の強化によって酸に溶けにくい状態にすることですが、それ以外にも虫歯から歯を守る多くの作用を有しています。
フッ素のむし歯予防効果
1.歯質の強化
歯の主成分であるハイドロキシアパタイト(カルシウムとリン酸の複合体)に対してフッ素は化学的に結合し、プラークから作られる酸に対して非常に抵抗力のあるフロールアパタイトの形成を促進します。
2.脱灰の抑制
フッ素はうがい薬と異なり非常に浸透性がよく、歯面に付着しているプラークの中まで行き渡ります。そして通常、プラークから作られる酸によって歯のカルシウムが溶け出す脱灰現象が起きますが、プラーク中のフッ素によってカルシウムの遊離を防ぎます。

3.再石灰化の促進
唾液中のカルシウムなどが歯に吸着し、脱灰によって失われたミネラルを修復する現象を再石灰化と呼びますが、唾液中にフッ素があることによって歯の表面にカルシウムが沈着する再石灰化を更に促進します。

4.細菌の抑制
プラーク中に存在するむし歯菌が糖を分解・代謝して歯を溶かす酸を作るのですが、フッ素によって虫歯菌の糖代謝を抑えることによって歯を溶かす酸が減少します。

ご家庭でしていただくフッ素の利用
1.フッ素配合歯みがき剤
最も取り入れやすく、自然に行えるものがフッ素配合歯みがき剤の使用です。 毎日行う歯みがきの際に、このフッ素配合歯みがき剤の効果を最大限活用できる、「イエテボリ法」という歯ブラシの方法をお勧めしております。
「イエテボリ法」について
@歯みがき剤を1.5g(小児は0.5g)ほど歯ブラシの毛先につける。
Aバス法と呼ばれる歯磨き法で3分間、歯を磨く。
(バス法とは、歯ブラシを歯に対して45度の角度で当てて磨く方法です)
Bコップに水を10ccほど含み、ぶくぶくと口の中隅々に行き渡るように約30秒リンスする。 (ほんのごく少量の水で1回だけうがいするので、口に歯みがき剤が少し残ります)
C吐き出したあと最低2時間は飲食を控える。
最適な歯みがき
一般に市販されている歯みがき剤の多くにフッ素が配合されているため一定の効果があります。
しかし清涼感を得るために強い香料が入っているため唾液で歯みがき剤中のフッ素が薄まりやすく効果が減弱しやすいです。
また清掃効率や着色物除去効率を高めるため、比較的大きな研磨剤粒子が含まれており、3分間の使用で歯を傷つける恐れもあります。
そのため当院では低刺激・低研磨性を有する歯科医院専売歯みがき剤を推奨しております。
またお子様のデリケートな歯には更に低刺激・低研磨性を有する子供用歯みがき剤を推奨いたします。
2.フッ素配合ジェル
ご家庭で最も取り入れやすいフッ素利用法がフッ素入り歯みがき剤の使用ですが、その効果を最大限発揮する「イエテボリ法」が不向きな方も多くいらっしゃいます。
例えば歯周病のリスクが高い方の場合、歯みがき後にしっかりうがいをしていただいて、歯周病菌を洗い流したほうが望ましいのですが、その結果歯みがき剤のフッ素が薄まってしまいます。
また小さなお子様も3分間の歯みがきの間に誤って歯みがき剤を飲んでしまう場合もあります。 このような場合は、歯みがき後にフッ素配合ジェルの使用が推奨されます。
使用法
@まず歯を磨きます。(プラークを落とすことでフッ素の効果が上がります)
Aジェルを歯ブラシに付け、もう一度歯を磨きます。
Bその後、水でうがいはしません。
C使用後30分は飲食を控えます。
D以上を1日数回行います。
当院ではこのフッ素配合ジェルが上手にフッ素配合歯みがき剤を使いこなせない小さなお子様と、歯周病による歯根面虫歯のリスクが高い方に推奨していますので、有効フッ素濃度が子供用は500ppm、大人用は1000ppmと2種類の濃度を使い分けております。
3.フッ素うがい薬
この方法が、現在日本国内で行えるフッ素利用法の中で最も効果が高い反面、大きな欠点も有しております。 誤った薄め方をしたうがい薬を間違って飲み込んでしまった場合、急性フッ化物中毒になる危険性があります。
また正しい薄め方をしていても、慢性的に飲み込んでしまっている場合、歯や骨に障害が出る可能性もあります。
よってこのうがい薬については取り扱いを厳密に行う必要があります。
十分な効果が得られるフッ素うがい薬は「ミラノール」と「オラブリス」という2品目しかございません。
このうがい薬の入手には下記のような制限があります。
@歯科医院でフッ素の説明を受けた上で、歯科医院で購入する。
A歯科医院でフッ素の説明を受けた上で、薬局で購入する。
ですから、ご自分でスーパーや通販などで購入することはできません。 当院では患者様を定期管理させていただいた上で、「ミラノール」を販売しております。
4.フッ素スプレー
前述のフッ素利用法はどれも効果が高いのですが、小さなお子様が誤って飲み込んでしまう問題が残っております。 そのため上手にお口の中に溜めたり、うまく吐き出せない小さなお子様のためには、フッ素スプレーの噴霧が気軽に行えます。 フッ素有効濃度は100ppmと薄いですが、生えて間もない乳歯はフッ素の取り込みがいいことから、十分な効果があります。
歯科医院で行うフッ素塗布
毎日低濃度のフッ素で歯質を強化しながら、時折診療室で高濃度のフッ素を塗布することによって、フッ素による歯質強化の相乗効果があります。 使用するフッ素製剤も酸性・中性のものを取り揃えており、口腔内の状況に応じて使い分けています。 当院では様々なケースに対応できるよう、種々のフッ素塗布システムを導入しております。
1.綿球法フッ素塗布
ペースト状の高濃度フッ素を綿球に付着させて歯の表面に塗布していく方法です。 特別な器具が必要無く、あまりコストがかからないのが利点です。 その一方、唾液で濃度が薄まりやすい方法なので、バキュームなどが上手に入れられない小さなお子様などには十分な効果が発揮できないこともあります。
2.イオン導入フッ素塗布
歯列の上から高濃度フッ素を満たした専用のトレーを多い、専用のイオン導入器を用いて、通電させながらフッ素塗布を行う方法です。 専用のトレーによって周りを囲えるために、唾液によるフッ素の希釈が少なく、十分な効果が期待できます。
3.超高濃度フッ素塗布
歯周病が進行してしまって歯根が大きく露出してしまった歯は、とても虫歯になりやすいです。歯根表面は歯冠と違ってむし歯に対して強い抵抗力のあるエナメル質が無いためです。 そのため歯根表面の歯質を強化していかないと根面むし歯にとてもなりやすくなります。
しかし大人の歯は成熟しているためフッ素の取り込みがあまりよくありません。そこで海外より直接取り寄せた超高濃度フッ素製剤を塗布することによって、効果的なフッ素塗布が行えます。

ご家庭でしていただくその他のむし歯予防
1.キシリトールガム
キシリトールは全くむし歯になる可能性のない甘味料です。最近ではスーパーなどにも多く販売されるようになりました。
しかし量販店で売られているキシリトールガムは値段を抑えるために、キシリトール以外の甘味料が多く含まれており、再石灰化促進物質の量も不十分なため、むし歯予防効果はあまり多く期待できません。
よって当院ではキシリトール100%のガムを皆様に推奨しております。 むし歯リスク唾液検査によって、問題のある方にお勧めしております。

2.リカルデント
大切な歯を守ってくれるエナメル質は非常に硬い構造になっていますが、日々の生活やブラッシングなどで微細な傷がついたり、酸性状態によってミネラルが溶け出すなどして、常にダメージを受ける環境にあります。
歯質にカルシウムやリンを供給するCPP-ACP(リカルデント)を高濃度に配合しているペーストによって、大切なエナメル質を守ります。 このペーストはフッ化物との併用で効果がさらに増強します。
3.乳酸菌タブレット
むし歯菌や歯周病菌に対するため、ご家庭や診療室でこの悪玉菌を減らすことが基本となりますが、プロバイオティクスという別の概念から生まれた予防法です。 乳酸菌LS1というむし歯や歯周病にとって無害な善玉菌を多量に導入することによって、お口の中の細菌分布に変化を与え、悪玉菌を減少させる方法です。 むし歯リスク唾液検査や歯周内科検査でむし歯菌・歯周病菌が多く認められる方には特にお勧めいたします。
歯科医院で行うその他のむし歯予防
1.シーラント
むし歯が起りやすい場所が子供と大人では異なります。 大人のむし歯はほとんどが歯と歯の間や、歯と歯ぐきとの境目で起きます。
しかしお子様のむし歯は歯の表面にある溝が最もなりやすい箇所になります。 子供の歯はこの溝の部分が細く深く入り組んでいるために、どうしても歯ブラシが届かずむし歯になりがちです。
大人になればこの溝は唾液のミネラルの沈着によって自然に塞がるため、むし歯になりにくくなります。
そこでこの溝をフッ素を徐々に放出する材料で蓋をしてしまう方法がシーラントです。このシーラントによって歯の溝にむし歯菌が侵入することを抑制できます。
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