欧米人の噛み合わせ・歯列・骨格・顎関節の構造では、下顎は頭に対して蝶つがいの動作が主体で咀嚼運動(噛んですり潰す運動)を行います。
この構造はもともと硬くて大きなものを垂直的に咬み切ることに適しています。
一方、日本人の噛み合わせ・歯列・骨格・顎関節の構造では、下顎は上下の動作より左右の水平的な動きか主体で咀嚼運動を行います。
この構造は小さなものを水平的にすり潰すことに適しています。
現在、歯科医療全般について主にヨーロッパやアメリカからの情報をもとに歯科医師に歯科医療を教育しており、入れ歯についても下記のように一般的に教育されています。
一方、骨格・歯列・歯の形態・食習慣など大きく欧米人と異なる日本人に、欧米流の入れ歯をそのまま当てはめても上手くいきません。日本人に対しては以下の配慮が必要です。
上記のことより当院では日本人の骨格・噛み合わせ・歯並び・歯の形態・食習慣に適した日本人専用入れ歯を行っています。
入れ歯は吸着を得るために、少しでも大きく作るのが一般的です。
しかし大きすぎる入れ歯は吸着は得られても、入れ歯の下の歯ぐきの動きに合わせて外れやすくなるばかりでなく、飲み込みにも障害が出ます。
正確な歯型とその歯型から粘膜の動きを読み取った上での適切な大きさが必要です。
一般的な入れ歯はリンガライズドオクルージョンと呼ばれる理論の噛み合わせを与えます。
垂直的な力を1点に加えて義歯の側方のブレを抑えるのが狙いですが、実際に複雑な口腔内できれいに垂直の力がかかることは無く、土手の歯ぐきに負担が大きくかかります。
ただし製作は容易です。
一方、こちらでは広い面積でなおかつ3点接触をさせています。3点を接触することで互いに側方のストレスを打ち消し合い、土手の歯ぐきにとてもやさしいです。
ただし製作は非常に困難です。
一般的な入れ歯は前や横に噛み合わせをずらした時、犬歯を中心に少ない歯の接触で滑走させて奥歯が空かす犬歯誘導という噛み合わせを与えます。この方法は奥歯による噛み合わせの干渉を容易に取ることが出来る理屈です。
また製作は容易です。
一方、こちらは前や横に噛み合わせをずらした時、全ての歯が均一に接触しなあら滑走させる両側性平衡咬合(フルバランスオクルージョン)という噛み合わせを与えます。この方法は多くの歯で入れ歯の転覆に抵抗するので入れ歯は非常に安定します。
但し製作は非常に困難です。
一般的な入れ歯の床の部分は舌にとってはとても邪魔な存在です。そのため入れ歯を入れることによって舌が後ろに下がり、それに合わせて下顎も後ろに下がってスムーズな顎運動を阻害します。
一方、こちらでは顎関節症のマウスピースに用いるSPP・SLP形態を入れ歯に応用することによって舌は前上方に位置し、その結果下顎が後ろに下がらないためスムーズな顎運動を得ることが出来ます。
一般的な入れ歯と比較して日本人専用入れ歯には以下のメリットがあります。
咬合圧が上手く分散されるため歯ぐきの土手に食い込まないので
咬合接触面積が広いため
前で噛んでも横で噛んでも歯が均等に接触するため
下顎が後ろに下がらないため
グラインディング義歯は作成するに当たって非常に歯科医師と歯科技工士の手間がかかります。
つきまして全て保険外治療にて承ります。
また極限まで妥協を排除して作業を進めるため、どうしても保険診療と比較して治療期間・治療回数がかかってしまいます。
例えば上のグラインディング義歯のみをご希望されている方であっても下の噛み合わせに大きな問題がある場合、上下とも治療させていただく場合があります。
グラインディング義歯の適応としては10歯以上の欠損で他の入れ歯と比較して大きな差が出やすいです。
それと良い噛み合わせを得るには日頃の生活習慣の見直しも重要です。