顎関節症には以下の代表的な症状があります。
この顎関節症は学会では以下の分類に分けられます
ここまでは尺事情着な学会からの定義を引用させていただきました。
しかし実際の臨床で顎関節症を主訴に歯科医院に来院される方の殆どは上記の4つの分類のうち
であります。
よってこのタイプに絞って説明を進めていきます。
こちらは頭蓋骨を横から見たものです。
頭蓋骨の殆どは縫合と呼ばれるつなぎ目によって他の骨とくっついて動かない中で、下顎骨だけは顎関節によって大きく動かすことが出来ます。
左の図は顎関節を拡大したものです。
頭蓋骨のうちの側頭骨にある関節窩と呼ばれる骨の窪みに下顎骨の下顎頭と呼ばれる突起がはまり込みます。
この関節窩と下顎頭の間には関節の動きをスムーズにさせる関節円板と呼ばれる弾力のある組織が介在します。
顎関節症の本態の大部分は顎関節の関節窩における下顎頭と関節円板の位置異常です。
正常な顎関節では下顎頭が関節窩の中心に位置しているのに対して、顎関節症の顎関節では下顎頭が関節窩の後方に位置しています。
この下顎頭が後ろに下がった結果、関節円板が下顎頭に対して前方に滑ってしまいます。
正常な顎関節で大きな口を開ける場合、下顎頭が関節窩の中で蝶つがいの動きをしながら関節結節まで、顎が外れそうになるくらいまで前方滑走します。
その際、関節円板も前方滑走する下顎頭の動きと連動して前方に動きます。
顎関節症の顎関節で大きな口を開けようとしても、関節円板が既に下顎頭の前方に位置しているため、下顎頭が前方滑走しようとしても、元来滑りをよくするはずの関節円板が関節結節でひっかかって、つっかえ棒の役割をしてしまいます。
顎関節症の原因のほとんどが下顎が後ろに下がってしまうことが原因だとお話ししました。
では何故、下顎が後ろに下がってしまうのでしょうか?
下顎の位置を決めているのはご自身の上下の噛み合わせです。
この理屈について今から説明していきます。
こちらは正常な噛み合わせで下顎が上顎に対して適正な位置で咬みあっています。
この場合、顎関節の下顎頭は関節窩の中心に位置しており、関節円板も下顎頭の上にしっかり載っています。
こちらは下顎が後ろに下がった状態で無いと噛み合わない状態です。
この場合、顎関節の下顎頭は関節窩の後方に位置し、その結果関節円板が下顎頭に対して相対的に前方にずれてしまっています。
このパターンが顎関節症の典型例になります。
後、よくある原因の一つとして奥歯が抜けたまま入れ歯などが入らずに何年も放置されているケースです。
奥歯がずっと抜けっぱなしになると噛み合わせの高さが減り、上の前歯が前方に飛び出すように傾斜し、下顎は後ろに下がってしまいます。
早期のうちなら奥歯を入れる治療を行えば顎関節は改善しますが、時間が経つと噛み合わせの高さが無くなり奥歯を入れる治療が出来なくなってしまいます。
他にも不適切な形態の被せものや咬合調整によって、咬頭と呼ばれる歯の噛み合わせ面の傾斜が適切でないと下顎は前後に不安定になり、顎関節症の原因となります。
*顎関節症治療に於いて当院では健康保険による治療は行っておりません。