今までの歯周病治療は治療器具を用いて歯石や汚染物質を除去する外科的な手法が長く行われてきました。しかし外科療法だけでは完全に直りきらなかったり、治療に大きな苦痛を伴ったり、期間がかかったりしていました。
なぜなら、歯周病の原因である細菌を見ずに、検査・処置を行っていたために、同じ細菌性プラークでもその歯周病に対する質的な評価を行ってこなかったからです。
例えば、お医者さんにどこかの感染症でかかった時、診療室で感染源の微生物をあらゆる検査で確かめてから診断して、治療に移ることが当たり前のように行われています。
しかし、歯医者の世界ではお医者さんが当たり前に行っている微生物検査を全く行わずに、不確実な診断を下に治療を行ってきています。 こういったことが原因で、既存の歯周病治療でたまたま治る場合もありますが、一向に改善せず、通院が無駄になることもしばしございました。
そこで当院では、歯周病治療をより確実に・より手軽に・より短期間で行えるように、歯周病の原因である細菌性プラークの中身を調べて薬も使いながら治していく、歯周内科を行っております。
歯周ポケットより採取したプラークを高解像度の位相差顕微鏡にて観察し、プラーク内に存在している微生物を確認します。同時に炎症反応によって生ずる血球成分も観察できるため、炎症状態もリアルタイムで見ることができます。
健康な歯肉のプラーク中には小型・円形でほとんど運動性のない細菌が大半を占めています。また、炎症が無いので白血球などの血液成分もほとんど見られません。
しかし、難治性の歯周病のプラーク中に典型的に認められるものがトレポネーマと呼ばれる強い歯周病原性を有する細菌で、小型でらせん形の鞭毛と呼ばれるしっぽのようなもので、活発に動き回る細菌が認められます。
さらに超大型でカビの一種であるカンジダ菌も認められることが多いです。カンジダ菌は直接歯周病の原因とはなりませんが、他の歯周病原因菌が定着する格好の足場となります。
歯周病菌を除菌するために、aジスロマック(アジスロマイシン)という抗生物質を処方し、3日間服用していただきます。 さらにカンジダ菌を除菌するためにハリゾンシロップという抗真菌剤でうがいをしていただきます。
諸事情によりハリゾンシロップの使用が困難な方には抗カビ作用のあるミルラ&プロポリスという歯周内科専用歯みがき剤を使用していただきます。
上記のように検査して、薬だけで歯周病菌が壊滅してくれればいいのですが、現実には従来型の治療も少しは取り入れないと治りません。
歯周ポケット内に、殺菌性のある中性電解水で注水しながら、多目的超音波スケーラー・熟練した歯科衛生士によってメインテナンスされたキュレットにて歯周ポケット内の歯石除去・洗浄を行います。
重篤な歯周病の場合は歯周ポケットの深くまで器具を入れるため、痛みが出ないよう麻酔を用いて行います。
内服していただいたジスロマックが作用している間に行うことによって最大限の効果が得られるため、この処置は連続して短期間の間に全ての歯牙に対して行います。
歯周内科治療は治療内容によって健康保険が適応できないケースがあります。
一連の治療終了後も歯周内科専用歯磨き剤は別途ご購入して継続使用をお願いします。
保険適応の可否につきましては個別にご説明いたします。なお、保険外治療費につきましては、料金表のページをご参照ください